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HOMEバックナンバーvol.110bit非圧縮時代の真意を探る
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ビットレートによる「データ容量」と「レンダリング時間」の違い
大西 亨 | TOHRU OHNISHI | 映像クリエイター&エディター | 日本ブイ・ティ・アール所属

 前回の記事では、昨今ビデオカードを取り巻く話題としてよく耳にする8bitや10bitといった「サンプリングビットレート」の基本的な考え方を中心に、「8bitと10 bitの画質の違い」や「VTRで扱われるフォーマット」、「各種ノンリニアシステムにおけるデータの扱い」などの要素を解説し、技術的な面から実際のデジタルビデオワークを行う上で、8 bitや10 bitといったサンプリングビットレートをどのように捕らえたらよいか、ということをテーマに考えてみた。そこで今回は、実際に、ノンリニア編集ソフトや、合成ソフトなどで作業を行う上で、誰もが直面する作業環境について検証を行い、取り扱うデータのサンプリングビットレートの違いが、実際の作業にどのような影響を与えるかを考察したいと思う。

 「ムービーデータの容量」については、これは取り扱うデータ容量が8bitと10 bitでどう変わってくるか? つまりはディスクの占有率に係わる話だ。次に「レンダリング所要時間」について。これはレンダリング作業において8bitと10 bitでどれだけ処理時間が変化するのかというテーマに焦点をあてよう。
 もし実作業において、ハードディスクの容量が無制限にあり、作業時間も無限に使用できるということであれば、ハードウェアやソフトウェアの制限が存在しない限り「大は小を兼ねる」的な考えから、常に10 bitを使用して作業すればいいし、ワークフローを単一化することで、問題(例えば作業ごとにサンプリングビットレートを変更することによる設定ミスなど)が発生するといった心配もなくなる。しかし、実際にはまだまだ10 bitを使用することでの運用上のデメリットも存在し、そのために8 bitでの作業を併用するほうが好ましいケースも多分にある。

8bitと10bitでデータ容量はどれくらい違うのか?

 まず始めに、実際に作成されるムービーデータのデータ容量がどれくらいになるのかを考えてみよう。ここで算出するデータ容量は、実際に編集作業を行う場合に、「どれくらいのディスクスペース(容量)を必要とするか」、また「使用するシステムはどれくらいの長さのプログラムを編集可能なのか」を考える上での目安となる。編集作業中、常に現在のディスクの空き容量を把握しながら作業を進めないと、途中でディスクフルになり作業ができないといったこともあるので、重要な要素となる。なるべくビギナーにも分かりやすくひも解いていきたいと思うが、どうしても専門用語や数字が割り込んできてしまう世界なので、是非前回の記事も再度読み返して頂きながら、読み進んで欲しい。

 それでは、実作業で「8bit YUVカラースペース(以下8bit)」での作業を行った際のデータ容量と、「10 bit YUVカラースペース(以下10 bit)」で作業を行った際のデータ容量を算出し、どれくらい違いがあるのか考えてみよう。

「8 bit」で作業行う場合を考えてみると、1時間分のキャプチャ作業により消費されるデータ容量は次の様に算出することができる。

※1:「YUV 4:2:2」の場合、「Y」のサンプリング周波数に対し「U(Cb)」および「V(Cr)」では、その半分であることから、8bitデータの1ピクセルあたりのデータ量は「Y:8bit」,「U(Cb):8bit/2」「V(Cr):8bit/2」となり、合計16bitとなる。
 
10 bitデータの場合
   8bitと同様に「Y:10bit」+「U(Cb):10bit/2」「V(Cr):10bit/2」=20bitとなる。

※2:正確には1秒あたりのフレーム数は「29.97fps」だが、便宜上「30fps」として計算する。
※3:10bitデータの場合には48ピクセル単位が1データとして「1,024bit」で構成されるため、全体のデータ容量としては更に1.06倍となる。

 いきなりこむずかしい話しから始まってしまい、クリエイター諸氏には「俺は数学でコンテンツを創ってるんじゃない」と拒絶されてしまいそうだが、8 bitと10 bitの比較の話をしてるのに、いきなり数式で「16bit」や「20bit」なんて数値が登場しているので、混乱してしまわないように一応補足解説を添えてみた。別にこんな方程式を知っておかなくても問題はないので、「ヘ〜ボタン1回」ぐらいの感じで軽く流して頂いて結構だ。読み進んで頂ければ、このこむずかしい数式は捨て置いても、8bitと10biの環境の違いは、十分にお分かり頂けるものと思う。

 さて、話しを本線に戻そう。上記の結果から、作業を8 bitで行った場合と、10 bitで行った場合では「約33%」ものデータ容量の違いがあり、10 bitで作業を行った場合に「約33%余分」にディスク容量が消費されることになる。
「RGBカラースペース」で作業を行った場合には、「YUVカラースペース」での作業よりもさらに「1.5倍」データ量が増加し、更にアルファチャンネルを使用した場合には、1時間分のファイルで、「8 bitの場合約35GB分」、「10 bitの場合約46GB分」それぞれにデータ容量が増加することになる(例えばAfter Effectsなどのエフェクト作業やCGの素材を使用する作業の場合には、ほとんどのソフトウェアがRGBカラースペースでの作業となる)。


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