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Vol.6 | 2005.07.31 | depth of field
HOME最新号INDEXパーソナルCGアニメというアプローチ
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FOCUS/スポット企画
[特集] 世界の注目を集めるジャパニメーションの現場-04 | パーソナルCGアニメというアプローチ | ロマのフ比嘉氏監督作品『TANK S.W.A.T. 01』のワークスタイル
dof editorial team 取材2005.06.06
© 2005 士郎正宗/青心社・DoGA/ロマのフ比嘉 配給:日本ヘラルド映画
© 2005 士郎正宗/青心社・DoGA/ロマのフ比嘉 配給:日本ヘラルド映画

 アニメ特集最後にご紹介するのは、これまでに紹介してきた一般的なアニメ作品のアプローチとは異なり、個人もしくはごく少人数のプロジェクトによって制作されている「パーソナルCGアニメ」と呼ばれるワークスタイルとそのビジネスモデルである。
パーソナルCGアニメといえば、2002年にほとんど1人で作成された新海誠氏の自主製作アニメ『ほしのこえ』が、その代表例としてよく紹介されている。この作品は、数々の賞を受賞したフルデジタルアニメーション作品で、日本だけにとどまらず、韓国・北米・ヨーロッパなどでDVDをリリースするというアグレッシブな展開がなされており、国内外で8億円の売り上げを上げたといわれている。アニメやCG系のさまざまなイベントでもずいぶん注目されていたのでご存知の方もおられるのではないだろうか?

 そして2005年春、『イノセンス』(原作は攻殻機動隊)や『アップルシード』などの劇場公開作品でアニメ業界を賑わしたあの士郎正宗氏原作の『DOMINION C;1』が、わずか数名のプロジェクトにより『TANK S.W.A.T.01』というタイトルで映像化された。アニメファンの中には、なぜ士郎正宗原氏の作品がパーソナルCGアニメで?…と思った方もいるのではないだろうか。
この映像作品は、「デジタルときわ荘」プロジェクトの第1弾として作られた作品で、パーソナルCGアニメの第一人者としても名を馳せているロマのフ比嘉氏監督により、彼を中心としたわずか数名のスタッフにより制作された作品で、2005年秋にDVDの発売が予定されている。

 それでは、『TANK S.W.A.T. 01』が作られたロマのフ比嘉氏のプライベートスタジオから、「パーソナルCGアニメ」というものの世界観を紹介しよう。

3DCGソフトのトゥーンシェーディングによる映像製作

 われわれが比嘉氏のスタジオを訪れた2005年6月には、スタジオに居たのは比嘉氏のみで、大きなプロジェクトがひと段落した静けさと脱力感が漂っていた。原作の漫画本や寝袋が散乱している様子が、ほんの数日前までここで繰り広げられていた彼たちの日々を物語っている。
 「今回は奇跡でした。絶対に6月〜7月ぐらいまではいくかな? と思っていたのですが、こんなに短期間で実現できるとは思っていませんでした」と比嘉氏。
というのも『TANK S.W.A.T.01』の映像企画が決定してからまだ1年も経っていないというから驚きである。
制作チーム専用のBBS(掲示板)を立ち上げたのが2004年8月、絵コンテなどの作業が始まったのが9月、そしてそのあたりからCGソフトを使ったモデリング作業が始まり、本格的な映像製作が始まったのは年が明けた2005年1月だという。
実作業の手が離れたのが今年の4月末とのことなので、比嘉氏を中止とした5名のメインスタッフにより、実質4カ月程で約30分の映像作品を完成させたことになる。

自主制作3Dアニメーションなどで活躍するロマのフ比嘉氏
自主制作3Dアニメーションなどで活躍するロマのフ比嘉氏

 これほどの少人数と短期間で映像制作を実現できたのは、「原動画」を制作していく一般的なアニメとは異なり、3D CGソフトを使った制作手法であったからに他ならないわけだが、この作品は3D CGでありながらも2D(アニメ)風のディテールを表現する「トゥーンシェーディング」という技法で制作されている。
トゥーンシェーディングとは、vol.1.5の記事「士郎正宗の世界観を最新の3DCGで映像化」でも紹介した「アップルシード」でも話題になった技法で、細部のリアルさを追求した3D CGのイメージとは異なり、線や影などを塗りわける手描きアニメ風の表現を再現するための手法である。2Dっぽいディテールに仕上げることができ、かつ細かな部分のモデリングを簡素化できる事により、大幅に作業時間が短縮できる。

 比嘉氏は、キャラクターのアニメーション制作に「アニメーションマスター」、背景制作には「LightWave 3D」、キャラクターのリアルな動きを再現するためのモーションキャプチャに「PV STUDIO」、そしてキャラクターと背景を合成するのに「After Effects」といったソフトウェアを多用して今回の作品を完成させた。
特に、この中でも比嘉氏が好んで使っている3D CGソフト「アニメーションマスター」は実勢価格5万円前後のコンシューマー向けソフトといった印象が強い製品で、商業映像作品で使われているという話はまったく聞こえてこない。
そこにどんなこだわりがあるのだろう?

キャラクターアニメーションの制作に使用した3DCGソフト「アニメーションマスター」のインターフェイス
キャラクターアニメーションの制作に使用した3DCGソフト「アニメーションマスター」のインターフェイス

 「アニメーションマスターはキャラクターを使った映像制作をさせたら世界一だと思います。“頂点アニメーション”がとにかく使いやすいので、例えば髪の毛を揺らす時などにも、頂点になる部分を感覚でぐりぐりと設定するだけで簡単に表現できるのがいいんです。それと、複雑な動きを1本のスライダでコントロールする“ポーズスライダ”という機能もとても重宝しています」(比嘉氏)。

 比嘉氏は、キャラクターに表情をつける場合や眉毛の動きが足りないと思った時などに、動かしたいパーツのグループ選択を行ない、その起点となる部分をダイナミックに動かしていく手法で作業の効率化を計っている。
背景に「LightWave 3D」を使っているので、いっそうのことそちらで細かな設定を追い込んでいけば、より精密な動きを精緻に再現できそうに思える部分もあるが、比嘉氏がこの手法を選んだ一番の理由は、例え多少粗削りになったとしても、素早く直感的に思い描くディテールを表現していきたいという拘りがあるようだ。
いずれにしても、もし「LightWave 3D」で精緻な作り込みに明け暮れていたとしたら、この短期間に作品が仕上がることはなかっただろう。作業時間と表現したい方向性との折り合いがついたアプローチだったようだ。

左:背景のイメージ制作に利用した「LightWave 3D」の制作シーン | 右:アニメーションマスターで作成したキャラクターとLightWave 3Dで作成した背景の合成作業は「After Effects」で行なわれた
左:背景のイメージ制作に利用した「LightWave 3D」の制作シーン | 右:アニメーションマスターで作成したキャラクターとLightWave 3Dで作成した背景の合成作業は「After Effects」で行なわれた

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